2007年06月13日

『ゼラニウム』堀江敏幸

♪♪
好みも人それぞれな読書だけれど、
その日の気分によっても随分と変化しちゃうもの。

なにも考えずにすむような、
そんな時間を望んでいる時だってあったりする。

作者の言いたいことはなんなんだろうなー、
この登場人物はこう考えてるんだろうなー、
物語の展開はこの先こうなるんだろうなー…

いつもだったら楽しめるはずの読書の醍醐味を
今回は放棄してみたくなっちゃった。

それで思いだしたのが、
#タイトルに惹かれて手に取った本の表題作。
あの作品を読んでいる間、
たしかにワタクシは熊の敷石だけ夢見ていた。

「薔薇のある墓地」
 パリ南郊の塗装会社から14区の建築事務所まで
 書類を運ぶ仕事を受けたのは、私だった。
 都合の悪くなった私は、エレーヌに頼み込んだ。
 そして彼女は死に、私は今、墓地へやって来た。

「さくらんぼのある家」
 友人カップルがなぜか今頃になって結婚した。
 郊外での祝賀パーティーへ出席した私は
 一応新婦の、その彼女の運転で夜道を走った。
 さくらんぼの実のなる、家に向かって。

「砂の森」
 なんだかんだと不精を決め込んでいた私は
 やっと、グリブーユと対面することが出来た。
 有袋類へ分類されるに違いない、噂の猫に。
 彼女にとってのサンクチュアリはすぐそこ…

「アメリカの晩餐」
 通訳仕事の依頼が、差配の女性からきた。
 どうにも怪しい。なんの仕事なんだろうか。
 しかし気になる。どんな刺激があるだろう。
 出向いた先での食事は、秀逸だった。

「ゼラニウム」
 なんだなんだ。
 部屋の前が水浸しになっているじゃないか。
 いったいどこから漏れ出てきたんだろう。
 これ以上の災難は御免被りたいものだが…

「梟の館」
 フランスの本問屋から仕入れた本を
 フクロウのビニール袋に入れて運んでいた。
 どうしたことだろう、日本のこんな場所で、
 フランス人に声を掛けられるとは。

自伝なんだか 私小説なんだか エッセイなんだか
分からないままに読み進めていくと、
3作目あたりから それはやって来た。


ここに積み上げられた文字の群れが
どんな形式の文章であろうと、構わない。

指でなぞると凹凸の感じられる印刷が
どことなく郷愁を誘うけれど、もう関係ない。

物語の主人公の思考が
ワタクシの脳ミソへ有無を言わさず流れ込んできて
他の何事をも脇へ追いやっていってしまう。

これって何?
無我の境地?
いちおう、「我」は無くなってるんだし。
あぁ、満足ぅ。気持ち良い。(*´∇`*)

「砂の森」と「ゼラニウム」が好きです♪

堀江作品、記事はこちら。
#『熊の敷石』
#『郊外へ』




タグ:恋愛 短編 ♪♪
posted by MOW at 07:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
TOP▲

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。